中小建設業の多様な人材確保・定着のための柔軟な働き方事例集
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MESSAGE● 子の看護休暇(未就学児1人に● 育児のための始業・終業の繰り● 認可・無認可問わず保育料の3分● 子育て・妊娠中の社員のための休憩室整備、マッサージチェア・空気清浄機の購入● 未就学児を養育する社員に1時間までの育児短時間勤務制度の導入● 子の看護休暇を高校卒業まで延長● 育児短時間勤務制度を小学校 ● 子ども手当を就学中の子(22歳まで)社員の声9取組成功の秘訣建設産業は明るい未来のためになくてはならない産業です。経営者として新しいことに取り組むのは大変なことですが、良い会社、良い組織が少しでも増えれば、自社のみならず社会全体も良い方向に進むというイメージを持って、社員と一緒になって取り組むことが大切だと思います。柔軟な働き方を実践してみて私自身、産後に時短勤務や有給休暇を活用して、子どもの生活に合わせた働き方を実現することができました。また、子どもの看護休暇は多くの社員が活用しており、女性のみならず男性社員も活用しています。奥さんの代わりに子どもを病院に連れて行かなければいけない時など、様々なシーンで活用されている制度です。VOICE 子の看護休暇は年休とは別の特別有給休暇として子1人につき年5日、30分単位で取得できます。また、時短勤務は1日の労働時間を最大で2時間短縮することが可能です。 しかし、子育て世代の社員のための支援制度を手厚くすることによって、子どもがいない社員や既に子育てが終わった社員の負担は少なからず増えることになりますので、如何にして彼らに不公平感を抱かせることなく、制度を導入するかが当時の課題でした。一人と時間を掛けて向き合うことができました。 また、子育て関連の支援制度と並行して、家族の介護が必要な社員に対しては時差出勤制度や介護サービス利用費用の1/3を助成する制度を導入しました。 加えて、全社員が利用できる制度として技能士等の資格取得経費補助制度や、有給休暇の計画的取得を奨励することにより、特に何も制約が無い社員に対しても配慮することを意識しました。特に、有給休暇については計画取得を奨励する前と比べて取得率が約30%上昇しました。 継続的に制度の新設・拡充に取り組むとともに、その波及効果としてフォ時期(年)200220052008ローする側の社員も休暇が取りやすくなったことで、困ったときはお互い様の精神が社内に浸透し、1998年から2009年の11年間の内、8年間で退職者0人を達成できました。また、社員が辞めない仕組みができたこともあってか、2010年には優秀なUターン人材(介護1名、子育て1名)を採用でき、近年では2021年に新卒4名、2022年は新卒2名、中途1名の計3名を採用することができる会社となりました。取組内容つき年5日)※ 年次有給休暇と別の有給休暇として30分単位で取得可能上げ、繰り下げの1を補助3年修了までに延長1人につき10,000円/月支給▲ 長岡塗装店の育児に関する主な制度▲ 塗装工事の作業風景経営者の方々へのメッセージ古志野純子さん常務取締役総務部 部長有本裕子さん負担が増える社員への配慮と多様な制度を同時展開 子育て世代の社員のための制度の導入であれば、当然まずは制度を利用する社員の意見をと考えがちですが、子の看護休暇や時短勤務制度を実際に利用する場合、その分の仕事のフォローをするのは制度を利用しない社員です。そのため、当社は制度導入にあたってまずは制度を利用しない社員に対して、制度導入の目的はただ単に子育て世代の社員の支援のためだけではなく、会社の経営を持続可能なものにするためには若い社員の定着が必要不可欠であることを伝え、現場と経営層で同じビジョンを共有することに努めました。当社は従業員が約30名と小規模ではありますが、だからこそ社員一人具体的な取組内容と導入にあたっての課題社員が育児と仕事を両立できる仕組みづくり まずは目の前の男性社員に必要な制度をと考え、育児中でも働きやすい環境整備のために、子の看護休暇と育児や介護のための始業・終業の繰り上げ・繰り下げを2002年に、また2005年には育児短時間勤務制度を導入しました。育児・介護休業法において、子の看護休暇と時短勤務が事業主に義務付けられたのは、それぞれ2005年と2009年ですので、当社としては社員の事情に寄り添う目的で制度の導入を決断しましたが、結果として世の中より一足先に制度を導入することとなりました。解決策とその効果

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