中小建設業の多様な人材確保・定着のための柔軟な働き方事例集
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MESSAGE社員の声7取組成功の秘訣会社によって規模や社風、社員の性格も異なるため、全ての企業に適用できる万能な特効薬は無いと思います。社員の意見を聞きながら熟慮した上で素早く実践しトライアンドエラーを繰り返しながら、自社に合わせて制度の取捨選択や改正を行っていくことが大切だと考えています。柔軟な働き方を実践してみて2022年に現場監督として入社して、約1年4か月の間短時間正社員制度を利用しました。制度の範囲内であれば柔軟に勤務時間や休日を決めることができ、私の場合平日は他の社員と同じ時間働き、土日を完全に休みとしていました。一緒に働く社員からの理解も得られていたため、子育てと現場監督の両立が出来ていたのだと思います。女性が建設業で働くことに対して、細かい配慮をしてくれる会社だと感じています。VOICEかし導入当初、社内からは忙しい中での育児休業の取得や男性の育児休業の取得に反発の声も出ており、周囲の目もあることから通常の育児休業でさえ取得率は0%という状況でした。そのため、有給にしただけで制度の利用が進むのか不安でした。せっかく制度を整備しても、利用してもらわなければ意味がありませんので、どのように社内の雰囲気や育児休業に対する意識改革を行い、制度の利用を進めていくかが課題となりました。とで、制度利用の動機づけを行う狙いもありました。 「育休キャンペーン」を実施した2012年以降、男女ともに育児休業取得率は100%となっています。最長で11か月間の育児休業を取得した男性もいます。有給の育児休業はこれまで男性9回、女性2回活用されました。実際に運用してみて、自身の担当の現場が竣工したタイミングで取得する等の工夫により、休んでも仕事が回ること、社員からも好評であることから、男性社員が5日間以上育児休業を取得すると受け取れる厚生労働省の両立支援等助成金(出生時両立支援コース)を活用することにより、2017年からは有給の育児休業の日数を従来の2日間から5日間に拡充しました。 さらに、育児休業の取得が追い風となり、それ以外の社員の有給休暇取得率も、2022年は2012年対比で約7割増にまで改善しました。取組を通じて、全社的に働きやすい環境づくりが進むことで、子育て世代はもちろんのこと、その他の社員も取組を前向きに捉えてくれています。経営者の方々へのメッセージ垣本美和さん矢賀舞さん▲ 新入社員に仕事を教えている様子▲ ドローンを操縦する女性現場監督▲ アンケート回答者にベビー用品をプレゼントする様子専務取締役工事部育児休業が取得しにくい雰囲気 当社では2012年より、有給の育児休業制度を導入しました。この制度は1995年から導入していた配偶者出産特別休暇制度(配偶者の出産時や退院時に特別休暇を取得できる制度)の取得率が100%だった背景を踏まえ、有給(給与の10割)であればこれまで利用されてこなかった育児休業も取得が進むのではないかと考え、導入を決意しました。 有給の育児休業は前例のない取組のため、社員が申請しやすいよう、試験的に2日間からの導入を開始しました。しキャンペーンと称して制度の利用促進 会社として育児休業取得を推奨していることを社員に理解してもらうために「育休キャンペーン」を実施しました。有給の育児休業を取得した社員と配偶者にアンケートに答えてもらい、御礼に紙おむつや粉ミルクなどの赤ちゃん用品をプレゼントする取組です。当社は三重県の「男女がいきいきと働いている企業」の受賞歴もあるため、そうした男女共同参画への取組の参考にさせてほしいという形で選択式と記述式を併用したアンケートへの協力を依頼しました。本来社員が自発的な申請で活用していく育児休業制度について、有給とした上で会社からのアンケートへの回答協力とセットにするこ具体的な取組内容と導入にあたっての課題解決策とその効果

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