中小建設業の多様な人材確保・定着のための柔軟な働き方事例集
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MESSAGE社員の声19取組成功の秘訣まずは社員の声を会社が聞き、一人一人の目線や立場に合わせて取り組んでいく必要があると考えています。会社がよいと思って取り入れた制度やツールも、社員に馴染まないのでは効果が得られません。何事も会社と社員の合意のもとで進めることが大切です。柔軟な働き方を実践してみて週5日、子どもの保育園送迎のため、9時30分~16時で勤務させていただいています。不在の時間に自分の担当業務に動きがあった場合でも、業務がクラウドで共有されていることで、都度他の従業員の方が対応してくださるので安心して制度を利用できています。クラウド化によって普段の業務も効率化が進んだため、とても助かっています。VOICE代替機による作業などによる作業効率の向上を見据えていました。 しかし、これだけ大掛かりな変革を進めるとなると、変化に対応する社員への負担が大きくなり、システム化についていけなくなる社員が出てくる懸念がありました。システムを管理する部署への負担も予想されておりましたので、柔軟な働き方の実現に向けて、社員全員が無理なく使いこなせるようシステム化を進める方法を模索する必要がありました。入力してデータをやりとりしてもらう)と徐々に進め、取組開始から目標としていたすべてのシステムのクラウド化まで約10年かけました。 導入後、面倒だからシステムを活用しないという社員については、追加の研修を受講してもらい、システムの使い方やもたらされる効果の理解を促しました。また、クラウド型の経理・会計システム導入にIT導入補助金を活用したことで、会社としての導入ハードルを費用面で下げることもできました。 取組の結果、業務の省力化や必須業務の時間短縮が進み、2022年に当社が目標としていた残業時間月平均30時間以下を達成することができました。さらに、生産性が向上したことで、部署内で業務の柔軟な調整が可能になり、正社員の子育て等の事情による時短勤務や就業日の調整(週4日勤務等)などがしやすくなりました。現在は対象者である子育て中の社員1名が時短勤務を利用しています。経営者の方々へのメッセージ山﨑徳彦さん塚原君枝さん▲ 社内の様子。クラウド活用によるペーパーレス化が進み、すっきりと整頓されている▲導入検討中のツールの実機を用いたデモの様子。代表取締役総務部システム化に社員が取り残される懸念 当社では、現場事務所をサテライトオフィス化するため、基幹業務システム、給与会計システム、勤怠管理システム、ファイル共有システムすべてのクラウド化を目指しました。具体的には、たとえば従来エクセルで個別管理していた人事関係の書類を基幹業務システムのクラウドで一括管理したり、給与会計システムのクラウド化により給与明細を電子化したりといった内容です。また、ファイル共有システムのクラウド化では、複数人でのファイルの同時編集や、端末の不具合発生時の社員が取り残されないようシステム導入を工夫 システムの選定にあたっては、利用する社員に実機を触ってもらい、社員の声を尊重することを意識しました。1つのシステムにつき実機を用いたデモや打ち合わせを4,5回実施しましたが、WEB会議システムの活用により対面よりもスムーズに検討が進み、検討~導入を1年程度で完了できました。 システム導入にあたっては、クラウド化による社員への負担が小さくなるよう、年度毎に導入するシステムを絞って段階的に取り入れていきました。たとえば、今年は勤怠管理をデジタル化、来年は給与会計システムをクラウド化(年末調整等、社員一人一人に直接システムを具体的な取組内容と導入にあたっての課題解決策とその効果

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