1 建設産業では女性が就業しやすい産業となることを目指し、職場や建設現場の環境改善に向けた取り組みを進めています。その結果、女性就業者は着実に増加していますが、今後、さらに取り組みを促進するために、課題と言われている就業の継続に重点を置き、建設産業で働くすべての女性が「働きがい」と「働きやすさ」を実感できる「女性の定着」に向けて取り組んでいます。 建設産業における女性就業者のための取り組みは、平成26年8月に「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」が策定されたことをきっかけに始まります。この計画では、「これまで以上に女性が就業しやすい業界となることは、男女問わず誰もが働きやすい産業となることを意味する」として、女性技術者・女性技能者の数について5年間で倍増するという数値目標を掲げました。策定後の様々な取り組みにより、女性就業者は増加する等の一定の成果が上がった一方で、子育て世代(25〜49歳)の女性の離職率が高いという新たな課題も顕在化しました。また、「建設キャリアアップシステム」の運用開始やi-Construction等の推進により、建設産業を取り巻く環境が変化したことで女性が就業しやすい環境が整いつつありますが、こうした環境の変化を踏まえた取り組みの見直しも行う必要も出てきました。 そこで、令和2年1月16日、建設業5団体((一社)日本建設業連合会、(一社)全国建設業協会、(一社)全国中小建設業協会、(一社)建設産業専門団体連合会、(一社)全国建設産業団体連合会)、建設産業女性活躍推進ネットワーク(現:建設産業女性定着支援ネットワーク。各地において女性活躍や定着に取り組む団体で構成されるネットワーク。)及び国土交通省が共同で「女性の定着促進に向けた建設産業行動計画 〜働きつづけられる建設産業を目指して〜 Plan for Diverse Construction Industry where no one is left behind」(以下、行動計画)を策定しました。行動計画においては、「働きつづけられるための環境整備」に重点を置くことを端的に表現するため、これまでの「女性活躍」ではなく「女性定着」という表現が使用されています。そして、建設産業で働く全ての女性が「働きがい」と「働きやすさ」の両立による就業継続の実現を目的として、「働きつづけられるための環境整備」、「女性に選ばれる建設産業を目指す」、「建設産業で働く女性を応援する取組を全国に根付かせる」という3つの柱で構成されており、それぞれの柱の趣旨を達成するための個別の目標が設定されました。また、様々な場面で行動計画の周知・普及を行っていくため、SDGsのアジェンダを念頭においた英語名称も設定するなどの工夫をしています。 全国で建設産業の「女性定着」をより普及していくためには、この行動計画を各地域に根付かせ、 「女性定着」に関する取り組みを全国へ拡大していく必要があります。そこで、行動計画の実行力を高めるため、アクションプログラムを策定することとなりました。内容項目を検討するため、建設産業団体等で構成する検討会を開催し、検討会では、建設産業で働くすべての女性や経営者がかかえる「女性の就業継続に関する様々な不安」を払拭するための参考事例を示す必要性について声が上がりました。そのため、本アクションプログラムでは、建設産業の女性の就業に関する現状を把握するための統計資料だけでなく、企業や女性就業者の事例、建設産業に従事する女性が継続して就業するためのキャリアパス等の参考事例も盛り込んでいます。 このアクションプログラムが各地域や各企業において建設産業の女性定着に向けて取り組むきっかけとなり、そして誰もが魅力に感じる建設産業となるための一助となることを願います。はじめにアクションプログラムについて
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